概要
学生時代に飲食店でアルバイトをしていたのですが、メニューにない炒飯をひたすら練習していました。
その飲食店は業務用の高火力コンロと鉄製の中華鍋があったので、何も考えなくても美味しい炒飯が作れたのですが、家庭だとそうはいきません。
時が過ぎて2019年。
現在は炒飯戦国時代と言われるほど、作り方が乱立しています。
- 冷や飯卵コーティング論
- ウェイパー論
- タイ米論
- おたまで潰すように論
もはやこれは宗派です。
色々な宗派があるなかで、信じる道は己の道だ。ということで、自分の作り方をまとめました。
今回は、自分が好きなオーソドックスな卵独立パラパラ炒飯を作るための方法をまとめます。
用意するもの
美味い炒飯は準備が8割です。プログラミングと同じです。
まず、炒飯をパラパラにする難易度が非常に高いのですが、物を用意すれば簡単です。
- ガステーブル
- 鉄鍋(リバーライト 鉄 フライパン 極 ジャパン 26cm IH対応 日本製)
- シリコンヘラ(ルクルーゼ グルメ スパチュラ VS M シリコン ヘラ)
ガステーブル
まず、重要なのは火力です。
一人暮らし用の賃貸住宅は電熱線コンロが多いのですが、この場合は引っ越ししましょう。
それくらい火力が重要です。
本当は鋳物コンロがベストなのですが、流石に炒飯のためにここまでやるのはどうかしているので、普通のガステーブルの前提で書きます。
通常、ガステーブルは空焚き防止のために、Siセンサーが付いているコンロが多いですが、炒飯作りにおいては、この装置はない方が良いです。
理由は、常時強火にしていると、センサーによりチョロ火になってしまうためです。
もし、Siセンサが付いている場合は、センサー部分をアルミホイルで覆うと、検知しにくくなります。(炒飯を作り終えたら外しましょう)
鉄鍋
次に重要なのが、鉄鍋です。
先にも述べましたが、炒飯をパラパラにするためには、高火力のコンロで常時強火で炒めます。
そのため、軟弱なテフロン加工のフライパンではいけません。
ベストなのは山田工業所 鉄製 打出片手中華鍋なのですが、、、
これも家庭で使うには流石に特化し過ぎている道具なので、ある程度汎用性のある鉄鍋にします。
そこで登場するのが、リバーライト 鉄 フライパン 極 ジャパン 26cm IH対応 日本製です。
これは、鉄のフライパンでありながら、鉄のフライパンのデメリットであるサビやすさを特殊(窒化)熱処理により、相殺しています。
鉄でできているので、ガンガン強火で炒めることができる上に、適当に放置していても錆びません。
自分はかれこれ10年前にこのフライパンを購入し、育てています。
シリコンヘラ
道具として用意するものの最後は炒める時に必要なシリコンヘラです。 これは、ルクルーゼ グルメ スパチュラ VS M シリコン ヘラがベストです。
これは、炒める時にダマになってしまったご飯を叩いてほぐすために使用します。
先人達は、おたまや木ベラを使用するようですが、この2つは表面積が小さいため、一叩きで叩けるご飯の量が少なくなってしまいます。
そこで登場するのが、ルクルーゼ グルメ スパチュラ VS M シリコン ヘラです。
ゴムではなく、シリコンであることが重要なポイントです。
シリコンは、耐熱性があり、かつ、適度な弾力があるため、高温に熱せられた鉄鍋でも溶けることはありませんし、叩いた際にしなるため、接地面積が大きくなります。
つまり、一叩きで広範囲のダマをほぐせることができるため、単位時間あたりの可パラパラ性の高い道具です。
材料
- ラード
- 卵1個
- ネギ
- ご飯
- 岩塩(ヒマラヤピンクソルト)
- 醤油
材料は以上です。
炒飯は使う材料が極めて少ない料理です。故に、材料一つの質が味を決めます。
そのため、限界まで高い食材を使うことをおすすめします。
今回は特筆すべきものを紹介していきます。
ラード
ラードの最大の特徴は風味です。
豚の脂身に含まれる香りの成分が食べたときの美味しさを引き立たせます。
先述した通り、炒飯は材料が少ないため、少ない戦力で戦わなければなりません。
油を単純に、フライパンにひっつかないようにするため、ではなく、旨味を引き出すための材料の一つとして、戦力化します。
卵
みなさんは卵の食べ比べをしたことがありますか?
私は、色々な卵を食べ比べしたのですが、味に明確な差が生まれるのは、卵一個60円を超えてからです。
一個20円~30円の比較的安価な卵は、ほぼ味がしない、水っぽい卵です。
しかし、60円を超えたあたりから、黄身のコクと、白身のもっちり感が違います。
1パック6個入りであれば、360円程度ですので、投資しましょう。
事前準備
道具と材料が揃ったら、次は事前準備です。
- ラードを溶かし、ご飯と混ぜ合わせる
- 卵を溶き室温に戻す
ラードを溶かし、ご飯と混ぜ合わせる
先にご飯とラードを絡めることで、ダマの原因を防止、つまり、パラパラを促進させます。
鉄のフライパンに大さじ1程度のラードを溶かします。気持ち多いかな?くらいが適量です。
ラードが全て液体になったら、フライパン全体にラードをなじませます。その後、フライパンに残ったラードをご飯に回しかけ、ご飯全体に馴染むように混ぜ合わせます。
この工程は以上です。
卵を溶き室温に戻す
"常時強火"と何度も書いていますが、高温にする理由は、ご飯の水分を迅速に飛ばすためです。
また、家庭用のガステーブルは火力が比較的弱いため、一度フライパンの温度を下げてしまうと再び高温になるのに時間がかかってしまいます。
全ての材料の中で、液体かつ温度が低いものは卵のみです。
この卵が、冷蔵庫から取り出したばかりの卵だと、フライパンの温度を著しく低下させてしまいます。
そのため、卵を溶いたあと30分ほど放置し、室温に戻しましょう。
作り方
ここまでくれば、あとは作るだけです。
最高の道具と材料、事前準備をしていれば、成功は手中に収めたとも言えます。
しかし、神は細部に宿るという言葉もあるように、最後まで気を抜いてはいけません。
以下、作り方です。
- 鉄のフライパンから白い煙が出るまで強火で熱する
- 溶いた卵を投入する
- 卵を投入した直後にご飯を投入し、半回転させる
- ヘラでダマでほぐす
- ネギを投入
- 塩を投入
- 鍋肌に回しかけるように醤油を入れ、香りをご飯に移す
ポイントだけ解説します。
卵を投入した直後にご飯を投入し、半回転させる
鉄のフライパンを白い煙が出るまで熱すると、一瞬で卵が焼け焦げてしまいます。
これを回避するために、卵投入直後にご飯を投入し、半回転させ、ご飯が下になっている状態にします。
卵とご飯は、ほぼ同時でも良いので、左手に卵、右手にご飯を持った状態から作り始めても良いでしょう。
ヘラでダマでほぐす
ダマをほぐすところに関しては、言及することはありません。
ただ、一点だけ気をつけなければならないことは、フライパンを振らないことです。
先に述べた通り、強火にしている理由は、ご飯の水分を飛ばすためです。フライパンを振ってしまうと、火から離れてしまい、温度が低下してしまうので、極力振らないようにします。
よくテレビでフライパンを振っている光景を目にしますが、あれは業務用ガスコンロで強力業火の炎で炒めることができるため、ガンガン振れるだけです。
つまり、道具が違うために成せるといえます。
鍋肌に回しかけるように醤油を入れ、香りをご飯に移す
醤油をかけ方でさえも、宗派が大きく分かれます。
- ご飯に直接醤油をかける
- 鍋肌に回しかける
この二つの違いは、味をつけるか、香りをつけるかの違いです。
ご飯に直接醤油をかける場合は、醤油の味がご飯につくので、塩味を強くすることができます。その反面、水分を含ませてしまうことになります。 その逆に、鍋肌に回しかける場合は、塩味はさほどつきませんが、醤油の香りをご飯に移すことができます。また、高温の鍋肌に醤油をかけると、水分は瞬時に蒸発するため、パラパラ感はそのままになります。
今回は、材料にもこだわっているため、材料一つ一つの味を感じたいです。
そのため、醤油は味付けをするというより、香りづけという立ち位置にしたいと思います。
鍋肌に醤油を回しかけてた後は、香りを満遍なく移したいので何度かフライパンを振ります。
まとめ
美味い炒飯は準備が8割です。
道具、材料、事前準備を怠らなければ美味しい炒飯が作れるといっても過言ではありません。
実際のところ、調理は普通の料理とはスピード感が異なるので、ある程度慣れが必要です。
しかし、調理が上手くなっても炒飯が美味くなることはありません。
努力のポイントは事前準備にあります。