概要
温泉好きだと自称していましたが、実は温泉のことを何も知らないモグリだったので、
ここいらで温泉の基礎知識を身につけようと、この本を読みました。
内容サマリ
ざっくり、こんなことが書いてあります。
- 温泉の定義
- 温泉の性質と分類
- 温泉の分布
- 温泉の効能
- 温泉の歴史
- 温泉の規約、利用、管理
- 温泉の未来
大きく、本を前半と後半に分けると、前半部分は特に温泉を科学的に分解したハード面の解説を行い、後半は歴史や、楽しみ方といったソフト面の解説をしています。
温泉の定義
前半部分は、まず温泉の定義から始まります。
地中から湧出される温水、鉱水および水蒸気その他ガスで下記3点のいずれかを満たすものを温泉と呼ぶ
1. 湧出時の泉温が25度以上である
2. 特定の(全18成分)成分が1成分でも規定濃度以上含まれる
3. 溶存物質の総量が1,000mg/kg以上ある
さらに、温泉法という法律まであります。 これは、温泉の利用や保護を目的にされた法律で、2001年、2005年、2007年に大幅改正されてたりします。 偽装温泉*1の件でも改正されたりしました。 いやぁ、知らなかった。
温泉の性質と分類
温泉番長は温泉に行った時に表記されている成分表の 「ナトリウム-塩化物泉」の意味があまり良くわかっていませんでした。 この章では、温泉の性質と分類についても書かれているので、この章を読むと、この温泉がどんな感じの温泉かがわかるようになります。素晴らしい。
温度による分類
温度は下記の通りに分類されます
分類 | 定義 |
---|---|
高温泉 | 42度以上 |
普通泉 | 34度以上42度未満 |
低温泉 | 25度以上34度未満 |
冷鉱泉 | 25度未満 |
温度が高いと、神経疲労、不眠、関節リウマチ、高血圧と胃酸減少の効果があり、
温度が低いと、鎮静作用・神経系・循環系のの興奮を抑える効果があります。
液性(pH)による分類
これはアルカリ性~酸性かの分類です。
分類 | 定義 |
---|---|
アルカリ性泉 | pH8.5以上 |
弱アルカリ性泉 | pH7.5以上pH8.5未満 |
中性泉 | pH6以上pH7.5未満 |
弱酸性泉 | pH3以上pH6未満 |
酸性泉 | pH3未満 |
アルカリ性泉は、肌の角質や皮脂を溶かすので、肌がすべすべになる効果があります。 酸性泉は、皮膚病などの殺菌効果があり、肌への刺激が強いです。ピリピリする感じ。
浸透圧による分類
温泉は簡単に言うと色々な物質が溶けている温かい水なわけですが、 浸透圧とは、溶けている物質は通さないで、とかしている物質を通す膜(半透膜というらしい)を境に濃度が異なる溶液間で生じる圧力のことです。難しい(小並感) 人間の体液と温泉の濃度を均等にしようとする圧力っていうとわかりやすいかも。 定義は下記の通り。
分類 | 定義 |
---|---|
高張性泉 | 10g/kg以上 |
等張性泉 | 8g/kg以上10g/kg未満 |
低張性泉 | 8g/kg未満 |
高張性泉の場合、温泉成分がめっちゃ体に入ってくるわ〜〜!!って感じ。湯あたりしやすい。
化学成分による分類
温泉に溶解されている成分の総量による分類です。
分類 | 定義 |
---|---|
塩類泉 | 溶存物質総量が1,000mg/kg以上 |
単純泉 | 溶存物質総量が1,000mg/kg未満 |
特殊成分を含む療養泉 | - |
んでんでんで、↑これは、成分の総量による分類なわけですが、成分による分類もあります。 これが11種類に分類されます。
- 単純温泉
- 二酸化炭素泉
- 炭酸水素塩泉
- 塩化物泉
- 硫酸塩泉
- 含鉄泉
- 含アルミニウム泉
- 含胴-鉄泉
- 硫黄泉
- 酸性泉
- 放射能泉
これらの○○泉には、それぞれ適応症(効能)と禁忌症(入浴しちゃいけない症状)があります。 そして、主要成分の陽イオンと陰イオンを-(ハイフン)で繋いで、泉質を表記します。「ナトリウム-塩化物泉」「カルシウム-硫酸塩泉」というように表記されます。
さらに、ここまでの分類を組み合わせて表記すると、例えば
- 高張性弱酸性高温泉 ナトリウム-塩化物泉
- 低張性アルカリ性冷鉱泉 カルシウム-硫酸塩泉
というようになり、これが成分表に表記される内容です。
いやぁ〜よくわかった。
その他
その他、ORPという、温泉の鮮度を表す数値の説明と、それに伴う源泉掛け流しと循環式の違いなどにも書かれています。 じゃぶじゃぶ湧いている源泉掛け流しの温泉が最強ってことでした。
まとめ
これまで成分表とかを見て「へぇ〜良い感じ〜」としか思わなかったのですが、この本を読むと、
いくつかのカテゴリが、どのように分類されているか?
その効能は?
という問いに答えられるようになると思います。
温泉を選ぶ時の観点にもなりそうですが、入浴中、入浴後の感想戦などにも役立つのではないかと思います。
これで、温泉番長としてデカい顔ができそうです。
*1:長野県白骨温泉の入浴剤を混ぜていた事件