最近はコードより人とやりとりすることが多くなってきたので、TeadmGeekを読んでみました。
今回はその感想を書きたいと思います。
エンジニアが他人とうまくやっていく知見が詰まった本
TeadmGeekは、チームで仕事をするプログラマーに向けた本です。
また、他人とうまく仕事をするということにフォーカスを当てているので、プログラムの話は一切出てきません。
この本は6章立てです。
- ソフトウェア開発はチームスポーツである
- チームの文化を作る効用
- リーダーの必要性
- 良くない振る舞い(行動的な意味)を排除する方法
- 開発チームが属する組織に対しての操作技法
一人のエンジニアとしての心構えとして有名な3本柱、HRT(謙虚、尊敬、信頼)の重要性や、
チーム文化の重要性、組織に対しての行動の仕方などが書いています。
HRT(謙虚、尊敬、信頼)
チームで開発を進めていくと衝突する、あらゆる人間関係は、謙虚、尊敬、信頼の欠如により、発生するものだと書かれています。
謙虚、尊敬、信頼とだけ聞くと、自らの意見を殺た方がよいのか?と思ったのですが、そういうことではなく、
チームとしてよりよい成果を得るための効率的なコミニュケーション方法だと学ぶことができます。
本のなかでは、実際の事例を基に、テクニックを活かすとこうなる!というような構成で書かれています。
この本を読んだ後に思ったのは、
HRTを知らない人(例えば超絶自分勝手な人)に対峙した場合に、一歩引いた視点で接することができるのではないかと思いました。
本書の狙い通り、なるべく衝突を回避すべく、落ち着いて誠実に対応できるでしょう。
チームには文化が必要
開発チームが共有する文化(経験・価値・目標)は、効率的なコミニュケーションや、エンジニアリングに必要ということはなんとなくわかっていて、本にも書いていたのですが、
発見があった点は、新しく入ってきたメンバーに対しての抵抗力にもなるというところでした。
文化がないチームに新しくメンバーが入ってきた場合、入ってきたばかりのメンバーの声が強ければ、
一瞬にしてその人価値観が文化になってしまう恐れがあると書かれていました。
発足してから時間が経ったチームには、文化を明文化する必要性が見えてきたのは良かったです。
チームにはリーダーが必要
この本では、リーダーに"なってしまった"人のための行動のコツについても書いてあります。 具体的には下記のことが書かれています。
- 初期の心理状態
- 陥りやすい悩み
- 心構え
- エンジニアとリーダーは仕事が違うこと
- 行動のアンチパターン
- 良い行動パターン
リーダーは、チームの触媒になるよう、目標を掲げたり、メンバーやチームの成功と幸せを考えたりと、
コードを書いていた時とは違う時間の使い方をしなければならないと、この本でも書いていました。
マネージャー向けに書かれた本でも書かれていたのは、以前のエントリでも学びましたが、
エンジニア向けに書かれたこの本でも同様のことが書かれていたので、妙な納得感がありました。
良くない振る舞い(行動的な意味)を排除する方法
リーダーからもう一歩上の視点になったことについても書かれていました。
良くない振る舞い(行動的な意味)を排除する方法*1と、
開発チームが属している組織に対しての行動についてです。
基本的には、HRTの精神で臨むことを前提として書かれています。
良くない振る舞いに対しては、相手の想いと伝え方を最大限考え、対処するのがベストプラクティスだと学べます。
また、良くない振る舞いをしている人であったとしても、基本的には自分の中での正義があるので、
そのベクトルを揃えるために、チームの文化も必要だと感じました。
組織に対しての行動
エンジニアは、より良いコードを書くことばかりに集中していてはダメだと書いています。
組織でうまく働くことについても書かれています。
本を読んで感じたのは、入社した瞬間の信頼貯金0の状態から、組織に信頼され、自分の意見や運命をコントロールできるポジションにつくまでの行動について書かれていると思いました。
エンジニアとしては、リリースよりもリファクタリングや技術的な解決に目が行きがちだが、
組織としては、サービスのローンチやユーザーに与えるインパクトの方が圧倒的に価値があることを、認めるべきと書かれています。
エンジニアは開発するだけが全てではなく、客観的(会社やビジネス側から見る視点)に見た事実を理解した上で、技術を活かすアプローチではないと、苦しくなると、だいぶ生々しいことが書かれています。
まとめ
この本はエンジニア版の人を動かす*2だと思いました。
HRTを基本原則として、チームで成果を出すための知見が詰まった本なので、ほぼ全てのエンジニアにお勧めできる本だと思います。
また、リーダーとしての視点や、エンジニア個人として組織内での動き方についても書かれているので、"チームで成果を出す"という点以外でも十分学びを得られる本だと思います。